碧色ノ天月

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声劇台本

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   声劇台本

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【声劇台本】


◆境界流転◆

❏世界観設定

❏キャラ


◆設定詳細ページ


死人と生者の言葉を届ける配達人。

時には魂の架け橋になる。



⊰᯽⊱┈──╌❊╌──┈⊰᯽⊱

❏『名前の無い魂』

第一話

(キャスト/男女不問4名/15〜20分)


⊰᯽⊱┈──╌  ╌──┈⊰᯽⊱

❏『死の自覚』

第二話

(キャスト/男女不問4名/15〜20分)


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❏『境界の住人』

第三話

(キャスト/男女不問4名/10〜20分程度)


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❏『涙色の花弁』

第四話

(キャスト/男女不問4名:女1名/10〜20分)






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【声劇】境界流転



◆[名前の無い魂]


◆1人称、二人称など改変可能。流れを崩さなければ語尾の改変可能。

◆キャスト/4人

◆15〜20分



❏月下(ゲッカ)♂♀

目立つ事が嫌いな優柔不断タイプ。決断力の甘さで断る事も逃げる事も出来ない。

悲しみの記憶が強い為、忘却が多く天然とも言われる(人格崩壊を何度も繰り返している/半覚醒時/覚醒時在り)。


❏白夜(ビャクヤ)♂♀

いつも楽しそうに笑っていて笑顔が多い。自分中心で物事を考え他人の考えは理解し難く。トラブルになりやすい。

生前、死に別れた魂の共鳴に反応する(共鳴の半狂乱になる事もある/半覚醒時/覚醒時在り)。


❏響(ヒビキ)♂♀

八方美人タイプで面倒みが良い反面、自身の事は表に出さず飄々としていて掴みにくい性格。境界での生活が長く、多少のトラブルには動じない。自身の内面へのアプローチは極端な拒否反応を示す。境界では、謎の多い遂行人。


❏榊(サカキ)♂♀

落ち着いた見かけと性格。必要な事は話し、不必要と判断したものは容赦なく切り捨てる。悪人と謂れる等、風評は様々。人間味に欠けた発言が見られる。境界での役割は四霊(上の者)からの指令伝達。






⊰᯽⊱┈──╌第一話╌──┈⊰᯽⊱

〈-賽の河原-人界側〉




響「はぁ……、キツ。人界の奴らをこうして見てると不浄に宛てられるわ。

白夜ぁ……下見てみ?って……よく食ってられるなぁ。」



白夜「あー!明日もご飯が美味しいといいなぁー!任務、任務、任務っ!ってもー、手紙も魂も見飽きたよね。

ね、そう思わない??」


響「んー?そうだな、別に任務がどうこうとか思わねぇけど。お前、ホントに飯しか頭にねぇのな。日が昇ってから、食ってばかりじゃん。」


白夜「んーーー、白夜は太らないからいいの!あ、でも。魂になったら身体は関係ないから皆の姿も変わんないのか!そかそか!忘れてたー。」


響「……まぁ、姿は己の意識次第だからな。肥った外見が好きな奴なら、食って太るんでね?」


白夜「え、白夜は可愛いかカッコイイのがいいかなぁ。……ん?ね、ね?響が夜明けから肩にくっつけてる丸いのなぁに??」


響「これ?あー、これは拾い物。」


白夜「拾い物?なになに??美味しい???食べれる??」


響「おっと、食い物じゃねぇよ。」


白夜「なぁんだ!違うのかぁ。じゃあ、その丸いの光ってるけど……、白夜も何処かで見たことあるなぁって。」


響「んまぁ、見た事あるも何も。拾い物の魂だからな。」


白夜「えー?!それ、任務なの?」


響「うんにゃ、ちげぇーよ。賽の河原んとこで迷ってた迷子のヤツ。」


白夜「ふぇー、まぁたヘンなのー。」


響「とりあえず任務も一つ終わった事だし、サカキんとこ行かなきゃな。

もう食い終わったなら行くぞー。」


白夜「ん?あーい!先に行っててすーぐ追いつくから。

サカキ居るのって、境界の回収所かいしゅうしょだよねー!りょーかい!!」





────間────

〈-境界-居住区〉





榊「で、それを拾ってどうするつもりだ。」



響「んっと、まぁ……どうするっても。ザックリだけど報告な。今朝、賽の河原方向の川べりに浮かんでたんだよ。放置しておくのも後で見てなかったのか?

なーんて、言われるのは勘弁なんでね。」


榊「しかし、迷った魂を境界まで連れ込むとはな。賽の河原と言えば、親より早くに命を落とした子の魂の浄化場。

まだ穢けがれを拭えて無いのかも知れん。」


響「っと、それがなぁ。この魂?札も持ってねぇし形もねぇのに川を渡ろうとしてたんでつい、な。」


榊「川を?……魂の核だけの状態で川には……。」


─────間─────



白夜「やっほーっ!!たっらいまー!あれれ?なになに?どうしたの??ケンカ?」


響「おっ、大飯食らいの帰還。あ?おい、白夜ちゃんよー、それどした?」


白夜「あ!!これね!ヒビキが帰った後にねっ、ふよよよよ〜ん!って!後ろからついてきたんだよ!」


榊「お疲れ。お前もまた今度は何を……。」


響「はぁ?ついてきたって?お?!なんだ??こいつ、急に動き出しやがったっ!」


白夜「あれ?丸い子の仲良しさんかなぁ?引っ付いちゃったねぇ??」


榊「呑気だな、呆れる。境界に不浄の魂を持ち帰った上に……。」


響「……オレも初めて見る。こいつ、融合しやがった。っ……、まずいな。」


白夜「ん?なに?どしたのー??丸い子おっきくなってきたねぇー。」


榊「報告もまま成らず、後手後手ごてごてだな……。」


月下「っうぅ、ううううっ……(うめき声)」


響「人界から半分融合しちまった。こりゃ始末書もんだなー!サカキさん!!悪ぃ!白夜ん事はオレのミスだ。

まさか、半分だったとは思いもしなかったんでよ。」


榊「確かに、始末書ものだな。」


白夜「あひゃー!ビャクヤまたシマツショかくの?えー??でもでも、この子……もう境界の子だよ?」


月下「……ひゅ、ごほっつ!!!ゲホッ!!!……、……っん。」


響「擬人化したか、と言うことは。境界でも存在を消されなかったって事だな。」


榊「まあ、そう言う事だ。のんびり見ていられるお前達の頭は綿飴か何かだな。目眩がしそうだ。」


白夜「んでもさ!魂と手紙を配達するのは白夜たちのお仕事でしょ?この子だって、……だって。だって……っ……。」


響「どした白夜?顔色悪いぞ。」


月下「こ、ここは……どこ……ボクはいったいどこに……」


榊「目が覚めたのか。

ここは境界、魂の境界だ。

目覚めて直ぐに言うのもなんだが、お前の存在は許可されていない。

黙って私達の言葉に従ってもらう。」


響「あー、生まれたばかりのヤツに言っても無駄だろー。」


月下「生まれた?ボクは、死んだ……っ……、でしょ。死んだんだよ。」


白夜「ぃ……や、や、や!!いや!!聞きたくないっ!!白夜悪くないもんっ!!」


月下「あれ、手だ……、……血も……。ない。何で……っ」


白夜「嫌だってばぁ!!!血はいらない!!嫌いっ!こわいよっ!!!!」


響「白夜?!おちつけ、どした?なんだ、どうしたんだ。落ち着け、びゃーくやー?」


榊「穢けがれ、か。人界のモノを拭いきれてない。ヒビキ、白夜を連れて下がってくれ。」


月下「き、気持ち悪っ……なに。ボクは、何?頭の中……脳みそ掻き回されてるみたいなっ……うっ。

ごめん、なさ、い。ごめっ……。」


榊「口や鼻で息をしようとするな。肌、感覚で息を吸い込め。

私が存在している姿が見えるか?見えるなら口にしてみてくれ。それ以外は何も言うな。」


月下「……っ、んぐ……。見える、大人……の、ひと。」


榊「それだけで十分だ。境界に存在するには、お前自身の存在意義が無ければ存在すら出来ない。

お前は月の下『月下』。そう呼ぶ。決して、生前の記憶を口にするな。」


月下「……げっか?はぁ、苦しい。あんた。誰……、……さっき声が。ボクの半身……っ」


榊「半身?此処には何もない。今言った通り、自身の存在意義のみが物体化している。

月下、私はお前の敵でも味方でもない。

それだけだ。」


月下「ちょっと、まて……まて、ボクは月下?違う、そんな名前じゃ………」


榊「……死人の名を口にするな。」


月下「死んだ、あぁ。そうだっ……死んだのに。此処に人がいる?なんで?ボクはいったいどうしたら?」


榊「上に報告する。それからだ、すまない。私に迷った魂の云々うんぬんを定める力は無い。」


響「ちょーっと、いいかー?!さっきからそっちもだけど白夜も目の色変わっちまって!落ち着けって言ってんのに……お?

完全にヒト型してんな!」


榊「ヒト型を模したな。まあ今後、如何どうなるかは解らん。

白夜は、穢けがれにあてられたんだろう。少し離しておいてくれ。」


月下「びゃ、くや。ビャクヤ。今の子はビャクヤって言うの?」


響「おや!喋れるのか、良かったなぁ!

って、あんま穢れ穢れ言ってやるなよ。慣れっこだろ?」


月下「さっきの子、ボクは……見た。

真っ暗なとこに引きずり込まれそうだったんだ……そしたら。白い手のひらが見えてそれを掴んだんだ。」


榊「白い手のひら?」


響「なんのことかねぇ??なぁ、上に報告すんのはいいが。こいつら何かと引き摺って……。

って、オレの知ったこっちゃねぇな。」


月下「ここは地獄?それとも……さっきの子がいるから。地獄じゃないのかな。」


榊「私は上に報告して来る。響は白夜と、……この『月下』を近寄らせない様にしておいてくれ。」


響「はぁん?近寄らせない?なんたそりゃぁ。

いいぜ。面倒事引っ張りこんだのはオレだしな。仕方ねぇ……。

おし、月下とやら!お前はここから動くなよ?」


月下「さっきから好き勝手言って……、ボクは月下なんて名前じゃ無いって!」


響「黙ろうか?ここじゃお前は赤ん坊と同じなんだよ。名前。

名前なぁ?んなもん、てきとーでいいだろ。」


月下「適当?な、なんで?!あなたの名前だってヒビキ?それも、適当だって言うの?!」


響「あー、かなーり適当。それにお前が引き摺ってる現世の記憶にかすりもしてねー。

あんま考え過ぎるな、ココじゃ雲みてぇに居るのが一番だ。」


月下「は、はぁ……。あ、痺れが無くなってきた……息もしてる気がする。」


響「その気がする。それだけ。簡単な事そんだけ。居る気がしてる。たったそれだけ。」


月下「よく分からないけど……、ボクは今。ここにいる。」


響「そんだけありゃ十分なんだよ。」


白夜「ひ、びき……怖いのなくなった。ね、何してる?サカキは?」


月下「っ……。」


響「おっとお?!白夜こっちくんなってさ!サカキなら上に報告だ。

んーーー、とりあえずこれやるから。んで、落ち着いたのか?」


白夜「んっ、大丈夫!頭がね、動物園みたいになってたの!

あ!これ、ヒビキの買ってた桜餅!やったぁー!嬉しいなっ!」


月下「あの、大人しくしておくから……その。

ボク、声だけで良いから。あなた達の声が聞こえる所に居させて?」


響「参ったな。サカキは行っちまったし。声くらいいいんでね?知らねぇけど。」


月下「本当に?!良かった……嬉しい。」


白夜「んふふ!きみはーゲッカって言うんだね!宜しくねっ!

さっきはごめんねー!白夜、たまーにオカシクなっちゃうんだー。」


月下「オカシクか、ボクは。今オカシイから……多分、白夜……君は大丈夫だと思う。

ごめん、言葉って難しいや。」


白夜「うんうん!むっずかしいよねー!大丈夫、大丈夫!」


響「さーてとっ、榊からのお達しでね。

お前らを離しておかなきゃなんだわ。

悪い!こっちとあっち、いいかー?

この線からはみ出すなよー??」


白夜「あーい!わかったよぅ!けちー!」


月下「分かった。言いつけなら、ボクは大人しくしておくから。」


響「仲良くなって良いもんか悩みどころよな。

現世の穢れか、厄介ちゃ厄介だな。

まぁ!何とかなるだろ。な?」


白夜「えへへ、桜餅もらったから良い子にしてるよーっ」


月下「ボクも大丈夫。まだ何が何だか解らないけど。多分、大丈夫。」


響「言いつけ守れなかったら、オレは知らねえぞ。

って、最初に掟おきて破ったのオレだったわ。あちゃー。」


白夜「サカキ帰ってくるまで寝るー!」


響「はいはい!寝てくれ!寝るなり死ぬなりお好きにどーぞ!」


白夜「死人は死なないんだよーだ!あはは!」


月下「死人……は、死なないか。」


響「月下!お前は深く考えるなよ?!面倒な事になっちまう。」


月下「はぁ?分かったよ。分かりました。なんだろう、この人たち。

すごく、居心地よくて……眠ってしまいそう……。」


白夜「ふぁぁあ……、白夜もぉねむーい……。」


響「寝とけ寝とけ!おやす……って、寝てる??!」





⊰᯽⊱┈──╌1話終了╌──┈⊰᯽⊱










 















2話[死の自覚]


◆1人称、二人称など改変可能。流れを崩さなければ語尾の改変可能。

◆キャスト/4人

◆15〜20分



❏月下(ゲッカ)♂♀

目立つ事が嫌いな優柔不断タイプ。決断力の甘さで断る事も逃げる事も出来ない。

悲しみの記憶が強い為、忘却が多く天然とも言われる(人格崩壊を何度も繰り返している/半覚醒時/覚醒時在り)。


❏白夜(ビャクヤ)♂♀

いつも楽しそうに笑っていて笑顔が多い。自分中心で物事を考え他人の考えは理解し難く。トラブルになりやすい。

生前、死に別れた魂の共鳴に反応する(共鳴の半狂乱になる事もある/半覚醒時/覚醒時在り)。


❏響(ヒビキ)♂♀

八方美人タイプで面倒みが良い反面、自身の事は表に出さず飄々としていて掴みにくい性格。境界での生活が長く、多少のトラブルには動じない。自身の内面へのアプローチは極端な拒否反応を示す。境界では、謎の多い遂行人。


❏榊(サカキ)♂♀

落ち着いた見かけと性格。必要な事は話し、不必要と判断したものは容赦なく切り捨てる。悪人と謂れる等、風評は様々。人間味に欠けた発言が見られる。境界での役割は四霊(上の者)からの指令伝達。






⊰᯽⊱┈──╌第ニ話╌──┈⊰᯽⊱


響「おっせぇなぁ……。まあ面倒な事になっちまったしなぁ。

あーーーっ!余計な事しちまった。サカキに借りできたじゃんよ。夜明け前に戻るとも限らねぇし、オレも寝るかな。」


榊「戻った。誰が休んでいいと?私が出ている間の事はお前に頼んだんだが。」


響「うぉっ?!って!!おけぇり!!いや?!寝てねぇよ?ぜんっ、全眠くないし!!

つか、驚かせんなよ。趣味悪い奴だな。」


榊「悪趣味さなら、お前に負けると思う。」


響「いや……、そんな真顔で言われても。」


榊「お前こそ真顔だな珍しい。」


響「いやいや!んな事より、上の奴ら何て?お咎とがめ無しなら良いんだけどよ。

オレに降りかかるんなら問題ねぇ……白夜やコイツ。何も知らねえ奴には咎とがはキッツいかんな。」


榊「……そうだな。少し休ませてくれ。報告が長引いた。」


響「お、おう。疲れた顔して……」


榊「何処の何方どちら様のせいとは言わん。ただ、疲れたのは上の者のだけじゃ無い。」


響「ん?おう、上のは分かる。なんだ??他に何か??」


榊「少し休ませろと言ったよな?」


響「あ、あぁ……わるい。柄にも無く気になっててよ。」


榊「また珍しい事を。厄介事には首を突っ込みたがらない主義じゃなかったか?」


響「違うって、確かに厄介事には巻き込まれたくはねぇ。

オレが拾って来たモンが厄介なモンになっちまった。それだけだけだ。」


榊「ほう……。」


響「落ち着き払ってるって事は、そうでも無かったか。いや、あいつらの共鳴にはビビった……マジで……」


榊「そうだな。白夜は?」


響「寝てる……はず?多分な。結界は崩されて無さそうだしよ。普段なら、まだ寝てる時間だろ。」


榊「そうだが、今回の件は上も勿体振っていた。気になる事があるのは私もだ。」


響「へ?そんなに大事かよ。参ったな……。」


白夜『談笑のところ、失礼致します。』


榊「っ……。」


響「うぉっ!?白夜……、いや……」


榊「はい、此方こそ失礼……。軽率に貴方の近くに……」


白夜『ですね、私の周囲に共鳴致した魂を感じました。』


響「って、あれ?オレが拾った時は穢けがれとか全く感知しなかったぜ。」


白夜『穢れ、ですか。』


榊「上の指示ですが、失礼ながら貴方の共鳴した魂の半身を封じろとの事です。」


響「え?!封じるって、魂を封じるなんてのは転生やら色々……その。」


白夜『魂を封印する事となれば、その魂は永遠に転生も叶いません。』


榊「ええ、そうです。」


響「ちょっと待て待て!!境界には長くいるけどよ。魂の封印なんてのは大罪者くらいだろ?」


白夜『大罪。すなわち、生前関わりのあった生者せいじゃとの接触。』


榊「不思議なことに、今回の封印は半身となっています。」


響「半身?!いや、半身って……」


月下「……んん?なに?誰かいる?」


榊「月下か、此方には近付かない様にな。暫くそこから動かずにいてくれ。」


白夜『……それでは私は暇いとま致します。』


月下「なに?目が見えない……暗いよ。真っ暗……っ」


響「おい?!大丈夫か?目が見えないって、白夜……が、半覚醒状態だからか?」


榊「響は滅多な事を口にするな。まだ告げて無い事もある。」


響「え?まだ何かあんのかよぉ?!」


白夜「ふぇ……っ、ん……おはよー?」


月下「あ、明るくなって来た?何だったんだろ……ねえ、さっき綺麗な声がしていたんだけど……」


白夜「んん??なぁに?」


響「誰もいねぇよ。気にすんな!」


白夜「あはっ!アハハハ!なぁんだゲッカは寝ボスケさんだねぇーー!お部屋、明かりついてるよっ。」


榊「境界時間で、深夜だ。」


響「んー、まあ。なんだ。難しい話しはオレとコイツとで話してただけで。」


月下「難しい話しって?真っ暗になったの……急にさ、目の前が黒い蔦つたみたいなのに埋もれて。

境界時間って、なに?」


白夜「あれぇ?ゲッカは時間しらないのぉ??」


響「わっ!お、おっと!白夜ちゃんそれ以上月下に近付かないで欲しいなぁーって!」


月下「うくっ……っ、また身体が痺れてくる。ボクはどうなって」


白夜「だあいじょうぶ!なんにーもないよぉ?ね?ヒビキ、サカキー?」


榊「すまない。説明は後にしよう。

月下、苦しくなるかもだが。

『禁忌解呪きんきかいじゅ転生流転てんせいるてん境界秘封きょうかいひふう』……。」


響「悪ィ……、その。なんつーか。」


白夜「え?!白夜なにかした??ご飯抜きになっちゃう??!

え?あ!!なに?!サカキ?」


月下「……くひゅ、ぐ……いぎ、できなっ!ぐぎゅ、ひゅ……グッ!!!」


白夜「いやぁ!!なんでこの子をイジメるのぉ?!苦しいっ、これ苦しいのっ!!

知ってるンだからぁ!!!やめてあげてよっ!!」


榊「……白夜、今の状態のお前には理解出来ないだろうが。仕方ない事なんだこの月下が境界に存在するには。」


響「転生の封印だって?!待てよ、いくら上の指示だっても酷くねぇか??!」


白夜「泣くよ!?白夜泣くよ!!ヒドイことはしちゃいけないんだよ?!」


月下「ボク……イギァアァーーーっつ……っ、いあ?!い、いあ?!!……おで、は、おではぁ!!」


榊「月下落ち着け、今のお前は『月下』。それだけだ。それ以外を封じる。」


響「……っ、なんだこれドス黒い液体??」


白夜「流れてくるよ?!サカキぃ!なにしたの?!」


月下「はぁ、はあ……誰もゆるさな……。

……あ、あれ?……ボク何してた??ん、白夜?」


榊「上手く行ったようで何より。」


白夜「月下、月下??今のなに??ごめん、白夜怖かったよぉ。」


響「うまく、行ったのか。コレで良いって?コイツの半分は何者なんだよ?!」


榊「私には解らない。指示された封呪を言い渡した。

私の力ではなく、先程の方の力だ。」


白夜「よしよし……、だいじょぶだよ?くるしい?だいじょぶ!だいじょぶ!白夜、痛くしない。」


月下「触れていいの?ボクに……さっきまで駄目って。

ねえ、何も思い出せないよ。身体と心がもがれるくらい苦しかった。有難う、痛くない。うん、痛くない……不思議。」


響「あーっ、禁忌解呪きんきかいじゅかぁ。お前がそんな力持ってるのかとビビったわ。そっか、なる程。

んで、月下さんよ?調子は?」


榊「まあな、私の及ぶ力等では無い。暫くは私達の元で監視せよとの事だ。」


白夜「え?!一緒に?やったぁ!!ねえ月下ぁー!よしよし、良かったねぇ!」


月下「う、うん!何だろう、ずっと暗い所に居たような……でも、此処に今いる?ボクは要る?居て良い?」


響「お?そうだなぁ、サカキ良いのか?」


榊「今はな。境界の掟おきてを犯した者と裁さばきを受けた。

実質、配達人とも浮浪ふろうとも違う存在ではある。」


白夜「え、なぁに?配達人は白夜達のコトだよね?」


月下「配達人?ふろう……?」


響「んとなぁ、配達人ってのはオレたち。天と地の境界に住んでて現世にアクセス出来る存在ってな。

んで、浮浪ってのはー……」


榊「浮浪とは、境界に存在しながらに天とも地を行き来出来ぬ存在。

それと、今月下の存在は配達人でも浮浪でも無い者となった。」


月下「じゃあ!ボクは何?此処に居ても良いけど、どっちでもない?」


白夜「んー?そうだねぇ??なんだろー??白夜はむつかしーこと、知らない。

ねえねえ!月下たんは、なんなの??」


響「そいつぁオレも知らん!」


榊「知らなくていいんじゃないか?」


響「はぁ?知らなくて良い?あんだけ苦しませる事になってて知らなくて良いって?

上の奴ら何考えてんだ。」


月下「……みんな、有難う。ボクの存在が何かは良いよ。こうして身体があって光が見える。

ずっと暗い痛いところにいた。それはあるけど、今嬉しいよ。」


白夜「白夜も嬉しいっ!朝になったら、お外いこー!白夜のしってるとこたくさん教えてあげるよぅ!」


響「外はマズくね?んでも、白夜と一緒に居るのは良いのか、ふーん。」


榊「指示待ちの部分はある。」


月下「あれ?これ、コレなんだろう?腕輪。こんなのついてた?あれ?」


白夜「きれいな腕輪だー!あれぇ?でも、左手にそんなの持ってたの?」


響「厳重なこった。物体化した封印か?」


榊「ああ、見える封印だな。存在を消されなかったのは特別な扱いなのかも知れない。

曖昧な事ばかり……。月下、それを外す事は赦ゆるされ無い。その腕輪がお前の存在だと思え。」


月下「え、ええ。腕輪を着けているだけで良いならボクは何も不満はないかな。

それより、嬉しい事が沢山ありそうで。」


白夜「んねー!たぁくさん遊ぼうね!

あ!そーだ!月下たん配達人してみない?」


響「はぁ?!配達人??なんでいきなり。」


白夜「なんでかってぇー?ふふっふー!それはー!白夜が月下と一緒にお手紙渡したいからー!」


月下「へ?配達人?さっき言ってたやつ。ボクも出来るのかな?

出来るなら手伝いたいな。」


響「いやぁ、それは却下!却下だろっ!!」


榊「許可されている。」


響「はぁあぁぁっ?!!!なんだって??」


月下「え、いいの?」


白夜「やったね!やった!ようーし、白夜負けないくらいお手紙配っちゃうもん!楽しみー!

月下たん、明日からお手紙くばるんだよー!」


月下「手紙って、なんなの?手伝いするって言ったけど……。」


響「いやいやいや、いや!無理でしょ!?こんな爆弾下げて任務?!ふざけ過ぎてねぇか?!」


榊「何の思惑おもわく、誰の指示かはヒビキ……お前は知ってるだろう。」


響「は、はは?なんのことー??」


白夜「なんのことーー??にひひっ!」


月下「何のこと???」


榊「任務についてはヒビキでも、白夜でも聞けはいい。

問題が在れば私に知らせてくれればそれで。」


響「いやぁ、配達人の人数増えるならたすかるわ。」


白夜「あのねー、配達人ってね。死人の言葉を現世にいる生きている人とかに伝える。そーゆーお仕事だよ?

んっでも、白夜とかここにいるみんな死んでるんだけどね!」


月下「死人……、え?!死人?!」


響「死人っちゃー死人。

てか、やっはコイツは配達人にはマズくね?死人の自覚ねぇし。」


榊「死の自覚を持たせる為にも必要な事。だそうだ。」


月下「死んでるの?ここにいる人皆?!

何で喋ってるの?!何で、死んでるのに桜餅とか食べれちゃうの?!!」


白夜「んとね、死んで天国とか地獄に行ってない。

んでね、どっちにも行かない。どっちにも行けない?」


榊「生活はこの境界と呼ばれる界隈かいわいで。

色々と現世とは違う部分はある。基本的には同じだ。」


響「そうだなぁ、配達人は現世の記憶は捨てなきゃだけどな。

今の封印で記憶、ねぇんじゃ?」


月下「……何も変わらない。そっか……でも、ボクの記憶……コレって。」


白夜「記憶!あるの??」


榊「無い。」


響「無いだろ。」


月下「え、じゃ……この悲しいのは?記憶?でも、思い出せない。」


白夜「思い出さないのがいいんだって!みんなそう言ってるよ?」


榊「月下、お前は死の自覚を持て。

これ以上面倒な事を起こさない為にも。迷惑をかけたく無ければな。」


響「『死の自覚』ねぇ。

念を押すってのは、コイツには『生者の念』が強く残ってるって事だな?」


月下「死の……、自覚。」


白夜「アハハハ!月下ヘンな顔してる!

そんなにオカシイの?」


月下「うん、結構オカシイ。これなら『死の自覚』っての解るの早いかもってくらい。」


榊「私からは他に伝える事は無い。

知りたい事は、自身で知るしか術はない。そして、識しることを赦されていない事もある。」


響「面倒ってやつな。

あーーーっ!疲れたわ!息抜きしようか?!な?」


白夜「いきぬき。かくれんぼしよ!」


榊「却下。もう休んでくれ。」


響「うぃー、しゃーねぇ。オレも寝るわ!おやすみ!ゆっくり死ねよー!じゃ!」


白夜「おやすみー!ヒビキもまたねっ!

白夜は、月下と死んでくる!いこう、月下ー!」


月下「え?!死ぬ??死んでくる??」


榊「境界の挨拶の一つだ。現世のおやすみと同じように使われる事が多い。覚えて置くといいぞ。

私も疲れた。おやすみ。死んでくる。」




⊰᯽⊱┈──╌2話終了╌──┈⊰